更新日:2020年12月1日

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NexMo第5回(令和2年12月号)

第5回/新型コロナウイルス感染症に負けない認知機能の低下予防

NexMo第5回2

NexMo第5回1

寄稿者

鹿児島大学医学部保健学科作業療法学専攻基礎作業療法学講座

教授/田平隆行

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広報12月号1(PDF:685KB)

広報12月号2(PDF:640KB)

コンテンツ内容(WEB上で読む)

はじめに

日本に新型コロナウイルスが到来して10か月になります。皆様の生活は様変わりし、ストレスな毎日をお過ごしの方も少なくないかと存じます。外出機会の減少により、運動量や知的活動、社会交流が減少し、結果として長く脳への刺激が減り、認知機能の低下を招いてしまうことが指摘されています。認知機能の低下予防には、運動、知的活動、興味ある活動(日課や仕事、趣味)、そして社会や対人交流が重要です。密な場所への外出が難しい状況ですので、今回は自宅や人が少ない場所で可能な認知機能低下予防をご紹介いたします。

知的活動

知的な活動というと計算、漢字の書き取り、間違い探しなどよくテレビなどで見る脳トレをイメージしているかもしれません。もちろん、得意だったり、興味がある場合には、おススメですが、苦手、気が向かない、疲れるなどよくお聞きします。知的活動は、新しいことに挑戦することも良いですが、自分に合った活動を楽しく続けることが重要です。コロナによって在宅時間が長くなったことで、大掃除をしたら昔していた趣味や懐かしいものが出てきたということもお聞きします。特段今、興味あることははないと言う方は以前行っていた趣味を再開するもの良い方法の一つだと思います。ここでは誰でもすぐできるものを紹介いたします。

1/読書・日記

本や新聞を読みましょう。本は文章を通して、頭の中で想像することで前頭前野を中心として脳が活性化することが知られています。読み始めは少し面白くないこともありますが、次第に展開が面白くなって、先を予想するなどはまってしまうこと多いですよね。この創造や先を予測することが重要であり、認知機能が低下すると過去の記憶が低下するので文脈が理解できず、これらのことが苦手になってしまいます。新聞も重要です。

テレビの報道で最新情報は得られますが、受動的な情報ですので、活字を通して情報を主体的に得ることが前頭前野の活性につながります。

加えて本や新聞は読むだけでなく、家族や友人に話して出力することでさらに記憶として保存されやすく、認知機能も活性されやすいです。交流できない場合でも、文章にまとめるなど出力することをおススメします。

日記は、今日の出来事を想起し、文章として出力することで認知機能の活動を促します(図1)。特記事項がない場合でも食事の内容やテレビの内容などでも構いません。毎日、書くことだけでなく以前の日記を読み返すことにより回想にもなり、その時の状況が目に浮かび、記憶の連続性に役立ちます。さらに鍛えたい方は、2日前の日記に挑戦してみてください。

図1

2/手や指先を使用した活動

手や指の脳内の運動・感覚領域は広く、刺激入力が多いとされています。例えば、絵画、裁縫、編み物、紙細工、籐細工、パソコン、楽器、日曜大工など考えながら手先を使うことにより認知刺激となり、軽度認知機能障害(認知症の前段階)の予防に寄与するとの報告もあります。特に認知症をお持ちの方は、動作や操作の「手続き的記憶」は残りやすく、経験のある手作業の実施は効果的です。いずれにしても、好みの活動を自分の仕事や役割として、楽しんですることが大切です。また手を使った認知的体操(拮抗体操:図2)は、前頭前野の活動を促すため紹介しておきます。

図2

近隣で実施できる日常的・習慣的活動

たるみず元気プロジェクトの重要な活動調査において、園芸や墓参りは上位にランクされていました。墓参りは65歳以上の高齢者において8割以上の方が行かれており、先祖を敬う習慣が根付いているようでした。まだ解析途中ですが、墓参りに習慣的に行かれる方は、そうでない方と比べうつ症状が少なく、認知機能や身体が高い傾向にあるようです。墓や納骨堂まで歩くという運動が関係しているのかもしれません。

また園芸は、体を動かすという作業自体が良いということはもちろんのこと、植物や土の日々の変化を観察し、肥料や消毒、水やりなど注意深く育てることが認知機能への刺激となります。大切なのは自分で育てたものが収穫や開花に繋がることで満足感や達成感、有能感を得ることができます。心の栄養としても園芸は良い活動だと思います。他にも普段何気なく行っている買い物や調理も材料からメニューを考え、調理法を思い出すなど認知機能を使っている活動です。マンネリで刺激が足りない方は、あまり使用しない材料や用具を使って新しい料理に挑戦して調理を楽しんでみてください。

電話などでの対人交流

会合など友人や知り合いと会って会話を楽しむことが脳への刺激として非常に大事であることが分かっています。

コロナの件において最もダメージが大きい一つとも言えます。密な場所では話づらいですが、屋外での広い場所では、最近の出来事や知ったこと、気持ち等できるだけ話すようにしてほしいと思います。

相手の状況を理解し、自分の状況を話すことによって認知刺激となるだけでなく、不安やストレスを緩和するなど心理的にもよい影響になることがあります。外出できない場合や一人暮らしの方でも最近はテレビ電話のようなオンラインなどの手法で会話ができるようになってきましたが、操作が難しい方はぜひ、電話を使って定期的にご家族や友人と話すようにしてみてください。

運動

運動については、定期的な軽~中等度の有酸素運動が認知機能低下予防に効果があります。重要な活動調査においても散歩やグラウンドゴルフ、体操などを実施されている方が多かったですので、ぜひ続けてほしいと思います。また、第2回の牧迫教授が紹介されていますようにコグニサイズも有効でおススメです。詳細は第2回をご覧ください。

終わりに

コロナによって多少生活は変化しましたが、生活リズムは極力変えないようにしましょう。食事、就寝、起床時間、日課など生活リズムが変化すると、特に認知症をお持ちの方は、不安や苛立ち、妄想、意欲低下が出現、増大する可能性もあります。安定した生活リズムで規則正しい生活に心がけ、コロナに負けない暮らしをしていきましょう。

このページに関するお問い合わせ先

垂水市役所保健課元気プロジェクト係

鹿児島県垂水市上町114

電話番号:0994-32-1111

ファックス:0994-32-6625

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